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2016/05/04

 大うつ病(単極性気分障害、一般にうつ病)の認知キャンペーンはあれだけしつこくやられたので広まり受け入れられた。話を聞いているとファッション的なうつ病というか単なる一時的な抑うつ状態なだけではないかというのも散見されるが、それも受容されたがゆえのちょっとした弊害であってそこまで問題ではないとは思う。

 そういった軽度のものも含めて日本人か気分が落ち込んだり希死念慮が湧くと鬱か? と疑うようになったのは「誰でも罹患する」というキャンペーン内容が定着した事による。その過程で、みな恐怖したはずだ。あくまで彼岸の存在であったはずの精神病が他人事ではなくなったのだから。うまくコピーを考えて心の風邪などと柔らかく伝えたから拒絶されなかったが。

 

 同様のことは統合失調症にも当てはまる。これも誰でも罹患する精神病だ。発症率は国や地域や民族を選ばず約1%、この頃はやや細かい数字が出てきて全人類の場合0.6~0.8%の発症率とも言われる。これを人口1億2000万人の日本に当てはまると全国に100万人の発症者がいる(厚生省の把握しているのは70万人で残りの30万人は偏見差別から逃れるためにクローズドにしているのではとされている)。小中高の40人クラスが3つあればその中に一人必ず統合失調症を発症する人間がいる。

 発症の原因は特定されていない。ただリスクになる要因はだいたい掴めている。それらが折り重なるように襲ってくると発症のトリガーが引かれるのだろう。

 遺伝要因はもちろんある。だがそれだけでなるものではない。私の親族には発症した人間はいない。他に性格要因、環境要因等々があげられる。

 人付き合いが下手、そもそも人間が嫌い、一人でいるのが好きだ、よって孤立しやすく自閉の傾向があると、つまり社会性が低いという事だが、あらゆる精神病を招く性格要因になる。

 プラスして養育環境、子供時代の両親、家庭環境の悪さもかなり大きい要因になる。

 私の場合は見事に上記二つの条件が重なっている。非常に両親の仲が悪かったし夫婦喧嘩にしばしば巻き込まれたし、家庭は荒れていた。人間不信の気味があって、社交性そのものは低い、ただ処世術として知人友人を作る事は可能だったというだけで、本当は一人でいたかったから、他人と会うの大変なストレスだった。

 

 で、この統合失調症は誰でも罹患します、という認知キャンペーンはどうやったら上手くいくものだろう? 「あなたも翌朝起きたら統合失調症を発症するかもしれません」などとACジャパンがCMを流したらどうなるんだろうか。事実を言っているだけだが、これはかなり受け容れるのがきついんじゃないかと思う。つまるところ明日にでも発狂しますよと言われているわけで、大うつ病とは比べ物にならないインパクトがある。

 うまいキャッチコピーが思い浮かべばいいのだが、大うつ病心の風邪なら、統合失調症は何だろう? 心の癌……表現が重たい。心のインフルエンザ……感染症ではないからこれも違う。妙なコピーは作らず事実を淡々と刷り込むようにCM等を流し続けるしかないか。そういう運動も起こったらいいなあと思ったりする。

 

 急にヒューマニストぶってみた。ガラではないことをした、身体がかゆくなってきた。今はヴォネガットの短篇集モンキーハウスへようこそを読んでいる。